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ある禅者の吐露
ある禅者の吐露(幸せの方法)
『 禅に、限界があるとすれば、ここです。』 今は亡き 師は、鎌倉で禅の修行をされました。 当時 ある大学の 講師をされ、著書を何冊か出し、井深氏の脈も看ておられました。 ある日、面談をした後 数人の人達と、囲炉裏を囲んでお茶を頂いていた時に、ためらいがちに言われました。 『誤解を恐れずに言うが、イエスは生前、弟子たちを救えなかったですね。 弟子からは 裏切られ、また弟子のだれ一人をも 救えなかった。 それでもイエスは、「私の元へ来なさい、私に愛を求めなさい 」と言い、今でも 多くの人たちにメッセージを送っています。 なぜですか? 禅寺では、これを説明できないのです。 いや、そういう面には触れないのです。』 ・・・・その時私には 正直 師が 何を言っているのか、よく分かりませんでした。 師のお宅には、若い内弟子がいました。 師のいないときには、良く尋ねてくる人や、私などを相手に、哲学などの話をしていました。 しかしその頃から、彼は 寡黙になりました。 『菩薩という事を聞いたことがありますね。 菩薩とは、人を救いたいという心情と能力を備え、実践している人のことを言います。 謂わば、人を救うプロの方のことです。 此処での修行とは、菩薩になるための修行のことと捉えて下さい。 菩薩行には、大きく分けると二つあります。 その一つは、どうすれば 菩薩になれるか? その考え方を 先ず頭で理解し、次に府に落とし、実際に 体得する修行です。 そう、イメージトレーニングと、理解してもいいです。 もう一つは、理解したことを自身が実際に社会で実践出来る人になるための修行です。 これは、イメージや理屈ではありません。 実際に、実践できれば、菩薩として人を救う仕事が出来ます。 お釈迦さまは、そのために八正道と、六波羅蜜多という修行のプログラムを与えて下さっています。 はじめのひとつが八正道で、もう一つが六波羅蜜多です。 残念ながら、禅仏教では、ここのところが抜けているのです。』 この話しを、私はその若い内弟子と、数人の来訪者と共にお聞きしました。 そのときある種のカルチャーショックを受けました。 人を救うプロフェショナルである菩薩になるためのプログラムが、何千年も前からすでに用意されている! 師はその後、友人の帯津先生の病院で、息を引き取られました。 私の修行は、遅々として進まず・・・・。 応援クリック ありがとうございます!
by hansaki460
| 2012-05-03 06:39
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